〜 フィットネスから介護の現場へ 〜

長年フィットネス業界で、多くの方の身体づくりと人生に寄り添ってきました。

トレーニングを通じて目指してきたのは、見た目だけではなく「その人らしい生き方」を支える事。

そんな活動を続ける中で、ある想いが芽生えました。

「人生の終盤を迎える高齢者の方々に、これまでの経験を活かして寄り添う事ができないだろうか?」

 

〜 介護という、過酷であり尊い現場 〜

介護の現場は、全国的に見ても「過酷な仕事」というイメージを持たれがちな世界です。

人手不足、心身の負担、夜勤を含む不規則な勤務 etc そうした厳しさがある一方で、利用者さまの生活と人生に深く関わることができる、非常に尊い仕事でもあります。

もし、この現場でフィットネスで培ってきた身体への理解や、タフな現場での経験値が少しでも戦力になるのであれば、ぜひ力になりたい。

介護・福祉業界全体の「底上げ」と、職業としての立ち位置・魅力の向上に、現場から貢献できないか? そう考え、この度 11月4日より、介護の現場で実践的な研修をスタートしました。

 

〜 やってみて初めて分かる「難しさ」と「手応え」〜

正直に言えば、大変なことは少なくありません。環境も文化も、フィットネス業界とはまったく違います。

利用者さま一人ひとりの状態に合わせた介助、感染症や事故への予防、スタッフ同士の連携など、覚えるべきこと、意識すべきことは多岐にわたります。

それでも現場に立つ中で、何度も感じたことがあります。「我々だからこそ、自然にできることがある。」

声のかけ方、身体の支え方、目線の合わせ方。長年、お客さまの身体と心に向き合ってきた経験が、介護の現場でもそのまま活かせる瞬間がたくさんありました。

 

〜 ビジョンを少しだけ、アップデートする 〜

これまで私は、「フィットネスと医療の融合」を一つのテーマとして掲げてきました。

ただ、実際に取り組んでみると、医療との連携には制度的な壁や、業界ごとの文化の違いなど、一朝一夕では越えられないハードルが多いことも実感しています。

だからこそ今、少し目線を変えることにしました。これからは「フィットネス × 介護・福祉」という新たな軸でも、連携と融合の形を模索していきたいと考えています。

フィットネスの現場で培った「動ける身体づくり」と介護・福祉の現場で求められる「生活を支える視点」この両方を理解した人間だからこそ、提案できることがきっとあるはずです。

 

〜 人に寄り添う“生涯現役”でありたい 〜

今回のチャレンジは、私にとって大きな一歩ですが、業界全体から見れば、まだ本当に小さな一歩かもしれません。

それでも、この一歩がやがて大きな輪につながるように。介護・福祉の世界で働く方々へのリスペクトを忘れず、現場から学びながら、自分にできる貢献を積み重ねていきたいと思います。

これからも私は、「人に寄り添う“生涯現役”」というスタンスで歩み続けます。

もしこの取り組みに関心をお持ちいただき、ご感想やご意見をいただけると、とても励みになります。

 

Text  /  齊藤 海之(S2 Medical Workout)